肉離れとは・・・
肉離れは、筋肉が断裂する怪我です。
筋肉が急激に収縮することにより、筋力がその負荷に負けて完全断裂や部分断裂を起こすことを言います。
筋肉は細い筋繊維が束になっています。この筋肉が伸びきった状態か、筋繊維の一部または全部が切れた状態のことを指します。
走ったり、ジャンプした時の瞬間的な力が加わった時によく起こる疾患です。
筋肉が断裂することで、炎症や出血、痛みが伴い、ひどい場合は皮下出血を引き起こします。
通常は、部分断裂が多いのですが、まれに完全断裂することもありますので、早めの受診を心掛けてください。
主に陸上競技のスタートから体が起き上がり加速する瞬間や幅跳びの踏切った瞬間、サッカーでボールを追いかける瞬間、野球での盗塁でスピードが上がる瞬間など動作の切り替えをする時に発生しやすいと言えるでしょう。 つまり筋肉への負荷が、一瞬で許容範囲を超えることが原因となります。
肉離れの原因
肉離れになりやすい要因は以下の通りです。
- 加齢
- 疲労がたまっている
- 柔軟性がない
- ストレッチ不足
- 寝不足
- 体のバランスが崩れている
- 焦っている
- プライベートで嫌な事がある(ストレス)
- 体質
- 運動不足
- 代謝不足
- 低気温
などが挙げられます。
その中でももっとも筋肉を硬くする要因は「加齢」です。幼稚園生や小学生で肉離れが起こることは殆どなく、高校生ぐらいから徐々に増えてきます。そして20代を超えると、リスクはさらに高くなってきます。これは加齢により、繊維タンパク質であるコラーゲンの生成量が減少するほか、ストレスや老化などでコラーゲン繊維が硬くなりやすくなることが原因と考えられます。筋肉が硬いまま運動をすることで、肉離れが起こりやすい原因になります。ストレッチをしても、元の硬い状態に戻るのが早くなっているため、小まめなストレッチが大切です。
肉離れの症状
瞬間的な動きをした後に「痛み」「腫れ」「皮下出血」が起こります。
軽度の肉離れでは、筋を伸ばすと「痛み」だけが伴いますが、中度以上の肉離れは、「歩行困難」になります。
腫れや皮下出血は、後日出てくる症状ですが、中度以上の肉離れでも部位によっては、皮下出血が見られない時もあります。
ただし、MRI画像を撮ると筋肉中に白く写った「内出血」がわかります。
https://haraya51.sakura.ne.jp/musclemri01.html(はらや整形外科より抜粋)
肉離れの応急処置
①安静
②冷却
③圧迫
④挙上
①肉離れかもしれないと思った際は、まずは、安静にして患部を動かさないようにします。
②氷で冷やしましょう。
放っておくと患部がどんどん熱くなり、痛みが増してきますので、氷をビニール袋に沢山入れて、患部の上に乗せておくことが大切です。(湿布よりも氷を選択してください)
アイスノンで冷やす場合は、アイスノンをタオルでくるんでから行ってください(直接患部に当てると凍傷になることがあります)
③患部をテーピングや弾性包帯、サポーターで圧迫します。
内出血や炎症を軽度にとどめて、痛みや腫れを緩和するために行います。
④患部をなるべく心臓よりも高い位置に挙げておきます。
患部に血液が集まると腫れて痛みが強く出てしまうことを防ぎます。
肉離れの検査・診断
病院では、エコーやCT、MRIを行います。
接骨院には、そういった医療器具がないため、ご希望があれば病院に紹介状を書きます。
また、画像診断をしなくても先生方の経験により肉離れを発見することができます。
肉離れを経験している接骨院の先生であれば、問診と触診でわかるはずです。
肉離れの治癒期間
肉離れが完治するまでは、一般的に3~5週間ほどかかります。
軽度でしたら、3週間で走れるようになりますが、中度以上は、5週間で走れるようになると思っていたほうがいいでしょう。
冬に唇が切れると血が出て痛いです。唇が切れるのは、表面ですけど、一度唇が切れるとなかなか治りませんよね。
笑った瞬間切れる、ご飯食べるときに口を開けたら切れる・・・。
肉離れも同じです。もっと奥側が部分断裂していますので、治りが遅いのです。
早くスポーツに復帰したいから痛みが取れたからと走ってしまい、再発するなんてことが良くあります。
肉離れをしたら、専門家と相談をしながらリハビリを経て、競技復帰を行いましょう。
軽度
・症状 筋繊維が部分的に小規模で損傷している状態。痛みは軽度。
・状態 歩行は可能
・治癒期間 約2週間
中度
・症状 筋繊維の部分断裂もしくは筋膜の損傷、皮下出血を起こしていることがあり、強い痛みがある。
・状態 歩行困難
・治癒期間 1~2ヶ月
重症
・症状 筋繊維が部分または全断裂、または大きく陥没しているため、激しい痛みがある。皮下出血を認める。
・状態 歩行困難
・治癒期間 3ヶ月以上
肉離れの好発部位
・ハムストリングス(太ももの裏側)
・下腿部(ふくらはぎ)
・大腿四頭筋(太ももの前面)
・内転筋(太ももの内面)
肉離れと似ているもの
・こむら返り(足がつる)
足がけいれんしている状態をいいますが、主な原因は、筋肉中の脱水症状によりミネラル不足と筋肉疲労です。
・筋膜炎
筋肉を使いすぎて、筋肉を覆っている膜が炎症を起こしている状態です。
好発部位は、ふくらはぎや足底、ハムストリングスなどです。
肉離れの治療法
肉離れの治療は、安静と固定がきちんとできたかで、治療期間が決まるともいわれています。学校があったり仕事があったりで、安静にできないことが多々あります。その場合は、治療期間が長くなると思っていたほうがいいかと思います。
学生の頃、筆者が行ったことのある整形外科の治療法は、MRIがない場合レントゲンを撮って、レントゲンは、骨しか写らないのですが、骨には問題ないね。肉離れかな~。湿布出しておくから安静にしておいて。と言われました。
MRIで画像診断してもらったとしても、肉離れと診断され、湿布の処方箋が出るだけで何も治療はありませんでした。
丁寧な整形外科は、リハビリ室でリハビリ治療をしてくれるかもしれませんが、筆者は、残念ながらそういった整形外科に当たったことがありませんでした。
当院の治療法
ゲルを使った引き寄せマッサージ
アイシング
電気治療(温熱)
全身治療
ストレッチ治療
筋力回復治療
問診時に患部を痛めた原因を探ります。
なぜ怪我をしたのか、その背景はなんなのか?
損傷した患部を見て、触診し、損傷程度を明確にし、治療計画をお話しします。
治療は、マッサージゲルを使い離れてしまった筋肉を寄せていくように引き寄せマッサージをすることで修復を早めていきます。
テーピングで筋肉が伸びないように固定し、シップを貼り、包帯やサポーターで固定をして1日目は終了です。
その後、治療の経過と共に
冷やす⇒温める⇒伸ばす⇒筋力を戻すと移行していき、リハビリを経て完治まで持っていきます。
筆者が45歳の時の体験談
私は、H30年4月5日に肉離れ(左大腿二頭筋)をしました。
幅跳びの踏切の瞬間にズキーンと痛みが発生。歩行困難になる。
加齢、精神面の低下、寝不足、気温の低下、食事を減らしていた、1週間前に違う筋肉(左大腿部 半腱様筋半膜様筋)に少し痛みが出現したが、当日は大丈夫だったので過信した。そんな状況でした。
肉離れをし、持っていたサポーターで固定。車で自宅に帰るも左脚は地面につけることが出来ず、歩行は困難。急いでアイシングをしながら寝ていました。2日目は、歩くことができなかったため花谷接骨院まで車で送迎してもらい、スタッフに損傷部位が近づくように軽くマッサージをしてもらい、仕事中はサポーターで固定しながら治療活動をしました。
筆者は、高校3年生から大学4年生までハムストリングの肉離れを何度何度も繰り返しています。
41歳の時に20年ぶりにマスターズ陸上に挑戦しようと練習を開始してからもハムストリングやふくらはぎを含めると何十回も肉離れをしています。損傷部位は、きちんと治さないと何度も繰り返してしまいます。
学生時代にこのような知識を知っていれば、こんなに繰り返さなくてもよかったと思いますが、その時は、大きな試合があったので、注射を打ちながらも中途半端にごまかしながら試合に出場していました。そのため損傷部位にしこりを残してしまい、肉離れの誘発条件が整うと肉離れをしてしまうのです。
当院では、肉離れで悩んでいるアスリートの方に少しでもお役に立てるようにしていきたいと思っていますので、肉離れをしたらご相談ください。。
下記は、肉離れの治療経過の指標です。
年齢や損傷程度、初期の安静状態、治療をしたかしないかによって治療経過が変わりますが、おおよその治療経過だと思って参考にしてみてください。
(参考)
4/5中度の肉離れ発症
4/6から軽く引き寄せマッサージ。
1週間後押しながら引き寄せマッサージ。
3週間後ゲルなしで押圧治療
4日間のみアイシング。残りは温熱治療
ゆっくり歩行ができるようになったのが、1週間後。
通常歩行ができるようになったのが、11日目。
チューブトレーニングができるようになったのが12日目。
軽くランニングできるようになったのが、17日目。
50mを軽く走れるようになったのが3週間後
試合復帰は、1か月半後。走り幅跳びは、左足踏切なので棄権して、三段跳び(踏切は右足なので短助走で出場)のみ出場。
走り幅跳びの試合復帰は、2か月半以上経ってからでしたが、2か月経たないうちに短助走で練習をしていました。
一般的な治り方よりも早期に競技復帰しています。これが、若ければ若いほど治りが早いので、競技復帰ももっと早くなるはずです。
初期の対応と治療の仕方によって、競技復帰のスピードが違いますので、肉離れの疑いがあるときはお早めにご相談ください。
記事の筆者:花谷接骨院 院長 花谷貴之
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